人の命を救うのは、崇高な任務である。
そう言われ続けて何年になるだろうか。
救助現場に駆けつけ、命ある肉体を元の場所に連れ帰る。
救助現場に駆けつけ、命尽きた肉体を帰るべき家族の元へ連れ帰る。
救助現場に駆けつけ、捜索するも見つからず自分たちだけ帰る日。
救助現場にさえ行けず、何もできない日。
もう少し、能力があれば助けられたのに。
もう少し、こういう装備があれば助けられたのに。
もう少し、天候が良ければ助けられたのに。
もう少し、早く状況がわかっていれば助かられたのに。
自分には何ができるのだろう。
自分は何をしなくては行けないのか。
色々と考える日々である。
答えは無い。
でも、わかっているのは、自分は非力であるということ。
できることは限られている。
できないこともある。
日々、
悩み、
悲しみ、
改善し、
喜び、
過ぎていく。
これが、人命救助をすることであり、この道を選んだ私の人生なのだ。
どの道を選んだ人も、
同様なことを悩むかもしれない。
それでも、
その道を歩き、
生きていきながら様々なことを考える。
そして、その結果がどうであったかは、
自分の命が尽きた時に初めてわかる。
人命救助の先にあるものは、
「人生そのもの」