折れない心 ーrescue J guy's blogー

元航空自衛隊のRESCUEパイロットが自分のやりたいこと、自分が何ができるかを発見できるようになる、折れない心(レジリエンス)について4つの原則を中心にお話ししてます。また、航空関連ニュースに対しての個人的な感想や意見もアップしています。

陸自目逹原駐屯地 AH-64D 墜落について 2018.2.5(月)

 

まず初めに、今回の事故でお亡くなりになった方にご冥福をお祈りします。

 

2.5(月)18:25現在

情報によると、陸自目逹原駐屯地所属のAH-64Dが墜落しました。

16:45に墜落、炎上したとのことです。

 

この記事からの情報では、防衛省発表で整備後の試験飛行だったということです。

 

事故の細部はこれからわかってくると思いますが、事故原因については目撃者(管制塔の管制官、地元住民)情報から大筋が見えてくると思います。

 

が、やはり推測であるので間違った情報も多く報道されると思います。

 

なるべく事実に近い情報が報道され、関係者の方々に2時的被害(精神的)がないことを願います。

 

headlines.yahoo.co.jp

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(以下更新 5日18:40)

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報道によると、駐屯地から見て東から西に飛行中と聞きましたが、報道で言われている千代田中部小学校は駐屯地の南側にあります。

 

試験飛行のエリアをどこを使用していたのか不明ですが、情報が集まり次第また更新していきます。

 

 (5日 19:00更新)

墜落した現場(ニュース情報)と目逹原駐屯地との位置関係です。

飛行場の南側に報道されている千代田中学校があります。

試験飛行を有明海で行って、帰投中であれば、おそらく南から北に飛行していたかもしれません。

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画像左下が報道されている、千代田中部小学校です。

 

千代田中部小学校周辺です。

小牧基地でもそうでしたが、なるべく民家のないところを飛行するようにパイロットは心がけています。

今回、民家を含めて炎上していると報道がありましたが、推測ですが民家ではなく倉庫であったり農家の納屋などの可能性もあるのではないかと思います。

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千代田中部小学校周辺です。民家は密集していませんが、まばらに点在しています。

 

(2月6日(火)01:05更新)

 

FNNのサイトで墜落の瞬間が映されたドライブレコーダーの記録が報道されていました。

 

www.fnn-news.com

 

この映像を見る限り、メインローターが飛行中に何らかの原因で飛散し、コントロールができないまま最終的に機首から墜落しています。

 

テイルローターの故障の時の話をインタービューを受けた専門家が答えていますが、ひょっとしたら、メインローターテイルローターの不具合が複合して発生したかもしれません。

 

爆発音がして、

プロペラの不具合かわからんけど、なんか、ギャーっていう、エアコンの室外機の故障したような、大きな音だった

との目撃者の話がありました。

 

おそらく、メイントランスミッションが加速度的に破壊する状況であったのではないかと思います。

 

パイロットは、メイントランスミッションの破壊が起こった時に対処する手段は何もないというのが現実です。

 

ですので、故障を事前に察知できる警報等があり、その警報等が点灯した場合は二時的兆候(機体振動、異音、異臭など)を感じた場合、すぐに予防着陸して墜落の状態を回避します。

 

沖縄で米海兵隊所属のヘリが連続して予防着陸したのも、こういった類の不具合が発生し、墜落する前に着陸して安全を確保したものと推測できます。

 

今回の事故では、兆候を感じたあとすぐに破壊が起こった可能性もあります。

 

パイロットの擁護をするわけではないのですが、この故障が起こった場合は民家を避けて航空機を地面に下ろすということは困難です。

 

できることは、可能な限り民家の密集していない地域の上空を飛行し不測の事態に備えることだけです。

ただ、民家の上を飛ばずに飛行できる場所は山間部か洋上しかなく、必ずどこかで民家の上を飛行しなければならない環境なのが日本の飛行場事情です。

 

民家の上を飛ばないという安全配慮を100パーセント実行した場合、運用上支障をきたします。

 

もし、自衛隊に予算がつき、飛行場周辺と訓練空域や演習場に行くまでの経路上の土地を全て買取、空き地にすることができれば同種事故を防ぐことができるかもしれません。

 

ただそんなことは現実的ではありません。

 

今回、映像でも分かる通り、目逹原周辺の地域は比較的民家が少ない地域ですので、迷路を進むように蛇行しながら飛べば比較的民家の上は飛ばずに目的地に到達できるかもしれません。

 

 

 

(2月6日(火) 22:00 追記)

報道ベースですが、事故に至った経緯などか少しづつわかってきました。

 

整理すると、

1.ヘリは、ローターヘッドの時間交換(1750時間)後の試験飛行を行っていた。

他の整備項目もあったと思いますが、今の所不明。

 

2.試験飛行は、2月6日月曜日の16:36に目逹原飛行場を離陸し開始された。

 

3.乗員は、2等陸佐(機長)と1等陸曹2名のパイロットが担当した。

 

4.離陸が南側の場周経路を左旋回で飛行した。

(まずは、水平飛行までの一連の流れで、機体やローターにも話題がないかを確認したとおもいます。)

 

5.問題がないことを確認し、管制圏の南西方面のポイントに向けて飛行すると、管制塔に通報し西に向けて飛行した。

 

6.飛行中、16:43頃に機体機首を下にして状態で、民家に墜落。

その際、ドライブレコーダーの映像によりローターらしきものが2枚機体から分離して行くのが見えた。

 

7.ローターの一枚はテレビクルーが川の中に落ちているのを発見ひていた。そのローター自体は破断してる感じはなかった。

 

現在のところ、ローターヘッドに何らかの不具合が発生し破断し、それと同時にローターが根元から機体から分離し、機体はコントロールできない状態になり、そのままの姿勢(前進飛行姿勢)で重量が重いコックピットを下にして、機首を下げた状態で墜落したと推測できます。

 

機体に何らかの不具合が発生したのは間違いないです。

 

が、現在のところ、交換した部品に不具合があったのか、その他の部品に不具合があったのか、それとも整備上の手順が違っていたのかわかりません。

 

思い込みをすることなく、回収されたFDRの解析を待つことが一番だと思います。

 

推測や思い込みで事故対策はできません。

また、事故関係者に対しても心無い言葉の暴力を振るわないでほしいと思います。

 

 

 

2月7日(水) 07:00追記

 

今回交換したと報道されているローターヘッドが、どのような部品がわかりやすい記事がありました。

 https://www.houdoukyoku.jp/posts/25813#y