海自ヘリ海底で発見
8月26日午後11時過ぎに青森沖で墜落した、海上自衛隊SHー60Jが周辺海域の海底2600mで発見されたと報じられました。
行方が分からなかった隊員3名も機体の中で発見されたとのことです。
10月25日以降に海底から引き上げる方針とのことで、ようやく寒い海の中から帰ってこられると思うと、良かったと思います。
反面、事故で悲しんだ関係者の方々の気持ちを考えると、事故で死んではいけないって再度思いを新たにしました。
「事故はなくすことはできない」
前回のブログでも書きましたが、これは事故で死んでもしょうがないと行っているわけではないんです。
何考えているかというと、
大きな事故(乗員死亡) → 小さな事故(乗員は無事)
ということなんです。
逆を言うと、小さな事故が多くなると、それは大きな事故に繋がって行くと言うことです。
小さな事故をより小さくすること、さらに言うと「ヒヤリとしたね」と言う事例(インシデント)に落とし込む。
そして、そのインシデントを多くの関係者が共有して、その事故の芽を摘む。
こう言う地道な活動が必要なんですね。
今回、墜落時にFDR(Flight Data Recorder)が見つかり、海面に墜落した時の機体の状況とコックピットの音声、そして生存した1名の隊員の証言から、事故原因が操縦ミスとわかりました。
もちろん、機体の不具合があってその対処をしていたのですが、
この事故原因をただの報告書に収めるだけではなく、
事故につながる要因を事故にならないようにするためにはどうするか、これを真剣に考えなければならないです。
空自ヘリの行方
10月17日に浜松沖に墜落した空自ヘリについては、10月23日は台風の影響により一時捜索が中断していましたが、未だ陸自ヘリの応援も受けて捜索中です。
ニュース報道によれば、海上自衛隊の艦艇のソナーで海中に物体を感知しており、海自ヘリと同様に海底に沈んでいる可能性があります。
青森沖よりも海水温が高いとはいえ、もし乗員が海底の機体に閉じ込められているとするならば、早く帰ってきてほしいです。
そして、海自の事故では見つかっているFDR。
空自の事故では未だに発見できていません。
水没と同時に機体から分離されるはずのFDRは、事故原因の究明には欠くことはできないものです。
今回、なぜFDRが機体から離れて海面に浮上しなかったのか、いろいろなところで疑問が出ていると思います。
こればかりは、機体を引き上げてもその原因がわからないかもしれません。
ひょとしたら、機体からは分離しているものの、損壊しているため浮力を得られずに海中をさまよっている可能性もあると思います。
おそらく初めてのことだと思うので、自衛隊関係者も含めて推測でしかありません。
機体と一緒に海底にあったとしたら、おそらく海面に接触した時の衝撃で分離システム自体が何かの不具合を起こした可能性もあります。
いずれにしろ、機体からの分離ができないことが機械的な不具合だとしたとしても、後々対処すればいいですが、事故原因が解明される方が先決です。
最後に
私が救難隊のパイロットとして初めて赴任した時、任務資格を得るための検定試験で隊長に言われたことがあります。
それは、
「操縦の上手いパイロットはいらない。安心して無事に送り出せるパイロットになれ。」
です。
パイロットは周りから見ると、とても華やかなかっこいいと思われる仕事かもしれませんが、自衛隊においてはそんなことはありません。
現役で飛ばれている自衛隊のパイロットの方々を含め、無事に家に帰ってきて欲しい、そう思うのです。