先日投稿した記事を多くの方に読んでいただき、救難隊がいかに過酷な訓練をしているかを理解する一助になれば嬉しいです。
現在(平成29年10月19日(木)16:00)のところ、乗員は以前行方不明で関係機関の必死の捜索活動が続けられているところです。
前回の記事では、マスコミ報道からではわからないことがあると書きましたが、報道資料を元に記事を書いているので致し方ないかと思います。
まずは、マスコミ報道の元になっている、航空幕僚監部の報道資料URLを貼り付けておきます。
第1報
http://www.mod.go.jp/asdf/news/houdou/H29/291017_01.pdf
第2報
http://www.mod.go.jp/asdf/news/houdou/H29/291017_02.pdf
第3報
今回も、現職でない自分が何ができるかを考えて、少しでも多くの方に救難隊のこと、そして航空自衛隊の行なっていることを少しでも理解する手助けができればと思い、拙い文章ですが書き連ねていきたいと思います。
救難隊が過酷な状況で訓練する意義
他機関ではやらない厳しい訓練を自らに課しているのか。
それは、いついかなる場所にも救助に行く、と言う安心を与えるためにです。
誰のために?
それは、日本の国防の最先端である、戦闘機パイロットのためです。
戦闘機パイロットは、平時から対領空侵犯措置という任務を行なっていて、飛行場が飛べない状態(気象状況、滑走路閉鎖)ではない限り、我が国の領空に侵入してくる恐れのある航空機などに対して必要な行動をとっています。24時間、365日休むことはありません。
そんな彼らが、敵か味方か分からない不明機から攻撃を受け、または航空機の不具合で脱出した時に、必ず助けに来る「救難隊」の存在は何よりのカンフル剤です。
何もない大海原で漂流して、生き抜こう、生きて仲間や家族の元に帰る!その思いを強くしてくれる存在、それが救難隊なんです。
これが、有事になればその重要度は格段に上がります。
ですので、救難隊が日々、他機関では成し得ない訓練を陸上部、洋上部で行なっているのは、ひとえにこの為です。
この結果、災害時などにはこの能力を活かし、他の機関が二の足を踏む状況でも救助活動に投入される所以です。
彼らが、昼夜問わず訓練をしているのを戦闘機パイロットはいつも見ています。そして、救難隊の存在に感謝をしつつ、防空任務に就くための厳しい訓練を日々行なっています。
救難隊が行なっていることは、確かに人命救助のための活動ですが、最終的には国防につながる大事なことをやっているんですね。
事故の原因について
現在、乗員が見つかっていません。また、航空機の飛行諸元などを記録するFDRも発見されていません。
(※FDRは下の写真を参照)
過去にも自衛隊機の事故が起きた時に記事を書きましたが、事故原因を究明することはとても大事なことです。
ただ、日本においては航空機事故に限らず、何か事故や事件が起きたらその犯人探しを一生懸命する習性があります。
運用上のミスがあれば、運用者が
操縦ミスがあれば、パイロットが
機体の整備不良があれば、整備員が
機体そのものに不具合があれば、航空機製造メーカーが
何にしても、最終的には誰かの責任にたどり着くことになります。
責任を取るべき人が、責任をとり、その事故原因や副因がはっきりとした中で対策が取られればいいのですが、ここが一番難しいところ。
航空機事故が裁判になった時に、この事故原因が利用されるのです。自衛隊機でも、民間機でも事故調査委員会が事故調査を行い、その内容を発表します。
これについては、前回書いた記事を参考にしてください。
事故で人員の死傷を伴うことは、非常に辛いものです。
ですので、事故原因に対して有効な対策を取ることが一番の弔いです。
ただ、自衛隊の存在そのものが、日本を取り巻く環境が安全ではないとき、国民の代表としてその任務に就くことです。
有事を想定して、危険なことを承知で訓練していますが、現実的に模擬できない状況があれば実機を使った訓練は行いません。
実機では、模擬できる範囲内で困難な状態を想定して訓練をしています。
その想定をする上で、日々の訓練が安全にできるように規定を設けて、厳正に訓練が行われています。
事故をゼロにできるのか
僕は、事故を0にできるとは思っていません。
戦争がなくなるとも思っていません。
これは、諦めているのではなく、事実として受け止めているからです。
その上で、限りなく事故が0になるように、戦争にならないように、自分に何ができるかを考えることの方が重要だと思っています。
何かにつけて、理想を語る方が多いのですが、いつも思うことがあります。
その人たちは、当事者意識がないのです。
飛行場周辺住民では、事故が起きて怖い思いをされている方もいると思います。
もし、息子さんがパイロットだったら同じ思いをされますか?
旦那さんがパイロットだったら、事故をなくせ!なんて言えますか?
戦争についてもそうです。
国民の代表で多数政党が与党となり、その与党が中心となり日本の国政を担っていくのですが、野党でいる限りその責任はなく、口先ばかりのことを言います。
自衛官が戦争をしたくて自衛隊に入ったと思っている人がいたら、大きな勘違いです。
中には、ミリタリー好きな人もいて誤解を与えるかもしれませんが、根っこにあるのは、国民のために戦うという思いです。
終わりに
偉そうなことを書き連ねましたが、今の私も部外者であり当事者ではありません。
部外者なので、当事者の辛さも分からなければ、今回の事故の背景に何があったかも知りません。
でも、自分にできることは、救難隊のことを知ってもらう手助けをすること。
そして、救難隊がこの事故を乗り越えて、また元気に飛んでもらうために陰ながら応援することだけです。