函館で墜落した陸自機の事故調査がはじまりました。
はじめに
いろいろな方が事故原因を推測されていたり、天候が悪くて無理矢理とんだのでは?
などのような書き込みをみました。
そんな中で、航空機の運航に関しての理解を深めていただければと思い、参考意見としてお話したいと思います。
最後の管制指示で高度1000mの指示
通常、管制官から航空機に対しての高度の指示は、「m(メートル)」ではなく、「ft(フィート)」を使用します。
ネットニュースでは、1000mというメートル表示をしていますが、これは一般のユーザーがフィートに馴染みがないので、メートル換算しているだけです。
ある方が、管制官が1000mと言わなければいけなかったところ、1000ft(約300m)と言ったために、航空機は山にぶつかったと推測されていましたが、こんなことはありません。
高度計は、フィート単位ですから、メートルで指示することもなければ、パイロット側からメートルでリクエストすることはありません。
馬鹿な指揮官が天候が悪いのに命令した結果事故が起きた
今回、災害派遣が陸上自衛隊に養成され、それを受けて陸上自衛隊の指揮官が受理し、派遣命令を飛行部隊に発出されたと思います。
命令は指揮官が行いますが、重要なことは、航空機運行の決心を行うのは
機長です
ですから、機長が安全に運航できないと判断した場合は、いくら指揮官の命令であても飛行することはありません。
指揮官も無理な命令はしません。できるという情報を元に決心します。
天候が悪くても、航空機の性能、空港の気象状況を踏まえて、機長が自分の操縦技量で運航でいるか否かを決心します。
もし、離陸したのちに天候が悪化した場合は、機長は勇気をもって引き返す訓練をしています。
ですから、指揮官が馬鹿であったわけでもなく、機長も航空機を運航できる気象状態であったから運航を決心したのです。
しかも、雲が低く、視程が悪かったので計器進入を選択しています。
指揮官がパイロットではなく、気象状況が悪くても命令だから行け!と命令したから事故が起きたという人がいたら、それは機長の判断能力が悪いと言っているようなものです。
機長は、無謀な命令であっても実行不可能であれば、可能になるまでスタンバイするかキャンセルを指揮官に上申します。
フライトデーターレコーダーの未搭載について
今回のフライト前に、フライトデーターレコーダーの不具合が見つかり、未搭載のまま運航していたことに、自衛隊はなにやっているんだ?という方がいますが、規則上は搭載しなくても飛行できる状態にあります。
想像してください。有事にフライトデーターレコーダーが故障しているので飛行しませんという自衛隊の飛行部隊があったら、国民は納得しますか?
あと、故障した状態で飛行しなければいけなかったのは、予算の問題でもあります。
搭載しなくても良い装備品と搭載しなければいけない装備品があったとしたら、どちらに予算を要求しますか?
限られた防衛予算の中で、各担当者が頭を悩ませながら工夫して毎年の予算獲得と予算内での運用をいかに効率よくするか考えているのです。
事故原因については、約4か月後に報告されることになりますが、憶測での発言が事故関係者を苦しめることが無いことを願っています。
※参考:空自UH-60Jのフライトデーターレコーダー
まとめ
航空機の運航に関しては、各自衛隊でも若干の違いもあります。
ですので、元空自の私がとやかく言っている内容も、若干ずれていることもあると思います。
ですが、航空関係者でもないかたが事故原因の推測をマスコミで流したりすることが、誰かをいづつける事になるかもしれないということを覚えておいてください。